

アナツバメは内陸または海辺の洞窟の垂直壁に分泌物を巧みに使って結合し巣を作ります。
アナツバメの巣の採取場所は昔から秘匿されてきました。それは、そのツバメの巣を食べることで健康になり、大陸の乾燥する気候でも食べるとお肌がしっとりして美を感じられることから特権階層に独占されてきたのです。
近年まで海沿いの島の洞窟内や高い崖、内陸部の洞窟内の高い壁面に作られた巣を採取するために、竹を利用して足場を作り、人がその足場を利用し危険を冒して採取していました。

しかし、高い場所から足を踏み外し大きな事故もおこります。また、赤道付近の高温多湿の洞窟内の採取場所は衛生的にも問題があります。洞窟内の地面一面はツバメやコウモリの糞が散乱しています。 特にコウモリは様々なウィルスや菌をもっているので危険です。
このような状態では、需要があってもツバメの巣を採取するには限度があります。
そこで、人々はツバメの習性をよく観察し、どうすれば天然のツバメを安全に、また効率的に採集できるかを考えてきました。


そこで、考案されたのがツバメの巣専用のハウスです。
ハウスは、ビルの2階~5階ほどの高さのコンクリート製の専用のハウスを建設します。この専用のハウスは、国やオーナーの違いで形状は一定ではありません。そこには独自のノウハウを駆使して天然のツバメに巣作りしてもらうようにしています。


2階~3階建てほどの高さのハウス内は1階のみの場合や、2階のフロアがあり上下に区切られ様々です。内部はツバメが自由に飛びまわる空間を確保しています。
ハウスの高い部分には小さな窓をたくさん設置します。この小さな窓がツバメの出入り口になります。 この出入り口の形状も国やオーナーにより異なります。
天井に木枠を設置して、その木枠にツバメが巣を作るようにしているのが一般的です。


このようにハウスを所構わず建てたからと言って、天然のツバメが巣作りする保証はどこにもありません。
せっかく大金を投じてハウスを建設しても、ほんの数羽しか巣作りしないハウスもあります。特別なノウハウが必要なのは言うまでもありません。
《営巣内の衛生面はハウスのオーナーにより異なります。》


ハウス内の衛生面はそれほど気にせず、むしろ糞はあえて床に一面に散乱しています。この糞は次の営巣をつくるとき床にまいてツバメをおびき寄せる手段として使います。また、営巣を作るための「手段の糞」として販売も行います。さらに農作物の肥料として使用もします。
そのため営巣の床は糞が堆積しています。そこで、ハウス内に入るには帽子とマスクと長靴が必要となります。帽子は上部から糞が落ちてくるからです。マスクは匂いがきついので。長靴は糞が堆積している箇所があるからです。
《衛生面を重視する専用ハウス》
衛生的に管理されたハウスでは床に水を満たしたタライを一面に敷き詰めます。
それは、ツバメの糞をそこに落とさせるためです。そしてタライの水を定期的に入れ替えることで、ハウス内を衛生的に保ちます。このように衛生的に管理されたハウス内は、通常のハウスのような糞のきつい臭いはしません。そしてマスク無しでも入ることができます。さらに、ツバメの特性を研究して、出来るだけツバメにストレスを与えないように採取する時間帯まで決めています。
残念ながら、こちらの管理が厳しいハウスは撮影不可でした。 現地に行けただけでもラッキーです。
巣はツバメのヒナが育ち巣立った後に採取します。
アナツバメはだいたい午前10時~午後14時の時間帯にエサを捕食する習性があり、ハウスからエサ捕りのために出て行きます。その限られた時間帯に職人がハウスに入り専用のヘラで採取します。このようにストレスを与えず衛生的なハウスでは、ツバメは安心して巣作りを行えるので、かなりの数の営巣が見込まれて良質な巣が採取できます。

